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新しい季節、なぜか上海 [上海]


勤め人生活も約30年を過ぎ、転勤も8回を数えた。いろんな所で暮らしてきたが、その土地その土地に思い出があり、思い入れもある。「住めば都」というのは、ほんとうにそうだと思う。始めは不都合に感じたことが、時間とともに苦にならなくなり、やがて楽しいことが見つかり始める。4年ちょっと暮らしたソウルもそうだ。今では目をつぶっても地下鉄に乗れるくらい慣れ親しんでいる(実際は目を瞑ると乗れないが、乗った後で目を瞑ることはできる)。そして9回目の転勤先が、どういうわけかこれまで縁のなかった中国は上海に決まった。これからしばらく、行ったり来たりや引越しの準備など、あわただしい時間を過ごさなくてはならない。でも、それも、もう慣れっこになっている。ジタバはしない、ドタバタはするだろうが...

と言うことで、前記事に書いたように上海に行った。いわゆる引継ぎと言うやつである。実際、ちゃんと赴任してから引継ぎを行うのが望ましいが、時として望ましくないことが起こるのが人生である。赴任の前にちょって行って引継ぎを受け、またソウルに戻ってこちらサイドの引継ぎをする。ただしその間に、Dubaiの会議に出席せよという、けっこうご無体な予定をいただいた。ゆえに、ドタバタしているのである。実際この文章はDubaiに向かう機中で書いている。頑張って書いているわけではなく、映画を2本見た後、まだ5時間ほどあり、時差調整のためには眠らないほうがいいので書いている。

今回の上海訪問はとても慌しかった。実質8日間のうち3日は北京に行った。N社の中国本部は北京にあるのだ。そこでの顔つなぎ。人の名前、特に外人の名前を覚えるのが、セロリを食べる次くらい苦手な私にはちょっと苦痛だった。上海では1日観光案内をしてもらった。土曜日だと言うのに、日本語ができると言う理由で借り出された販売事務をしている許佳さん、申し訳ないことである。上海で一番高い環球金融ビル(約500m)や、川沿い(黄河)の街、また巨大中華街(中国の中華街とは変だが、私にはそう感じられた)豫園付近、南京通りなど、次々と案内してくれる。許さんの日本語を聞いていると、「なんか聞いたことある声、イントネーション」...誰だったかな? あ、そうそう、それはアグネス・ラム...ではなく、アグネス・チャン。中国人が日本語を話すとあのようなイントネーションになるのか。それにしても、日本に一度も行ったことがなく、大学でちょっと勉強しただけの彼女の日本語は80%正しく、すばらしかった。ただ、彼女が「昼めしは...」と言った時には、噴出さずにはいられなかった。可愛い30前の女性が初対面の私に、「昼めし」という単語を使うということは、誰かがそう教えたのだろう。

今回の滞在中はほとんが事務所の中だったけど、それでも、私の中国に対する見識は大いに改まった。

1.上海は超現代的な大都会である
2.自転車は絶滅種?になりつつあり、たまに見かける多くが電動自転車である
3.本場の中華料理はとてもおいしい
4.本場の中国マッサージはちょっと痛い(でも気持ちいい)

そんな中で、もっと驚いたのが入出国管理である。上海浦東空港の入管、たいして待つこともなく順番が来る。そして驚きの一言。入国管理官が「ハロー」と愛想良く言ったのだ。どこの国でも入国管理官は難しい顔をし、「仕方がないから入国を許可してやる、ありがたくお受けするように」的な態度なのに、しかも社会主義国ではそれがもっと顕著なのに、「ハロー」なのである。そして、あっという間にスタンプを押し、パスポートを返してくれながら、「バイバイ」と言うのだ。ここは、ディズニーランドか?確かに上海に世界最大のディズニーランドができるということは聞いているが、すでに入管にしてこの準備体制?なのである(実際は、ディズニーランド建設とは何の関係もないのだろうが)。そして、これはその管理官に限ったことではなく、上海から出国するときにもまったく同じことが起こった。これは組織が一体となっての姿勢なのだ。上海滞在中、「上海は特別だから」ということを何回も聞いた。確かに、北京ではそんなフレンドリーさはなかったように思う。

私の年齢を考えれば、これが最後か、最後の一つ前のご奉公となる。経験だけは人に劣らず長いので、好き放題してやろう(臆することなく自分の意見を反映して仕事をするの意)と思っている。生活が落ち着くまでは、ドタバタすることにはなるが、これもけっこう慣れっこである。4月中旬、物理的に韓国を後にするまであと一ヶ月、いろいろあちらの恩を返さなければ...

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Bonheur

雀翁さん、やはりまた異動でしたか・・・全く無関係な私の予感が当たりました。もう日本支社には戻られることはないのでしょうか。
しかし、ソウルには4年もいらっしゃったのですね。「スイスからソウルへ転勤」と伺ってからそんなに経ったのですね。時間の経つのが早くて気を失いそうです。
どちらへ行かれても生活を楽しまれる雀翁さん、上海レポも楽しみにしております。(行ってきたばかりの私もそのうち再訪予定です・・・)
by Bonheur (2012-03-12 20:45) 

ももんが

異動されるんですね。
なんだか、勝手なイメージで雀翁さんは韓国に当分いらっしゃるような気がしてましたが、上海での新しい生活も、きっと楽しまれることと思います。
しばらくは大変だと思いますが、お体に気を付けて頑張ってくださいね。

by ももんが (2012-03-12 22:11) 

雀翁

Bonheurさん、

日本のマーケットは伸びしろが限られているようで、たぶん、戻ることはないと思います。
2007年にスイスで始めたこのブログも、5年で3カ国目に入ろうとしています。まったくの根無し草人生です。
慣れてしまうと、驚きが少なくなってしまいます。知らない国には、またいろいろ面白いことがあるでしょう。楽しみです。いつか上海でBonheurさんにばったり会ったりして...って顔を知りませんから、気がつかないでしょうが。

by 雀翁 (2012-03-13 04:58) 

雀翁

ももんがさん、

ありがとうございます。韓国生活もちょっとだれ気味になってきたので、ちょうど良いタイミングだと思います。新しい所は、多少の不安もありますが、これまで何とかなってきたので、きっとなんとかなるだろうと、楽観的に思っています。

by 雀翁 (2012-03-13 05:00) 

Michikusa

ごくごく日本的な祝辞で恐縮ですが、ご栄転おめでとうございます。^^
次は上海事情の記事を楽しみにしております。
しばらくドタバタされることと思いますが、ご自愛なさってください。

by Michikusa (2012-03-13 09:52) 

雀翁

Michikusaさん、

ありがとうございます。
早速、何を棄てるか(持っていかないか)の検討で、ドタバタしています。

by 雀翁 (2012-03-13 11:39) 

krause

ご栄転、おめでとうございます。
上海は、とても魅力的な街なので、ソウルでのお話同様に楽しみにしています。

確かに、30代の頃に行った上海は、「大正浪漫的街」でしたが、数年前に行った上海は、「未来都市」でした。それも、古い建物がたくさん残っている素敵な未来都市です。
by krause (2012-03-13 14:15) 

maki

雀翁さん!ついにその時が来てしまったのですね!!!
ああ〜〜〜、寂しい(何故?)
そうか、でも上海なら遊びに行かれる距離です^^
またしばらくは上海ライフをお楽しみください(笑)

で、、大変恐縮なのですが、ご一報いただけますでしょうか?
すみません〜m(__)m

by maki (2012-03-13 15:58) 

drumusuko

転勤それも外国ですので、大変でしょうね~!
でも、それを楽しみに変えて、その地で楽しく生活する、ちょっとうらやましい感じもします。中国人女性の「昼めし」は笑えます!!
by drumusuko (2012-03-13 16:35) 

雀翁

krauseさん、

上海は新旧入り混じったとても面白そうな街なので、今からとても楽しみにしています。どういう生活が始まるか、ワクワクです。料理もとてもおいしかったので、感動しました。

by 雀翁 (2012-03-14 03:59) 

雀翁

makiさん、

まあ、ソウルも4年以上になりますから、遅かれ早かれ動かなければなりません。行き先が、上海と言うことで、とても喜んでいます。そう言えば、makiさんは中韓の言葉を自由に使えこなせるんですよね(私の誤解でしょうか?)。

台湾で大活躍されたようで(colletさんのブログから)。相変わらずの健啖ぶりに感心しています。

by 雀翁 (2012-03-14 04:03) 

雀翁

drumusukoさん、

いつかしら、根無し草の放浪転勤生活者になっています。どこの土地にも、独特の楽しさや面白さがありますから、今から楽しみにしています。

「昼めし」発言には、ほんとうに驚きました。すました顔で言うんですから...

by 雀翁 (2012-03-14 04:06) 

collet

あらま~今度ソウルに行った時には、
雀翁さんに景福宮を案内していただこうと思ってたのに上海とは~(@_@;)
でもまあ仕方ないことですし、
これからは、雀翁さんの上海便りを楽しみに~♪

それにしても、入国管理官のハローには驚きますね!
ましてや、可愛いギャルでもないのに・・・あっ、管理官は女性?
by collet (2012-03-14 18:17) 

yukomimi

すてき! 上海! 羨ましいです。
なんて幸運な道をあゆまれていることでしょう!
これから経験なさる一つひとつが、雀翁さまの輝く財産になることでしょう!
by yukomimi (2012-03-15 20:25) 

雀翁

colletさん、

勤め人の性ですから。
上海からもボチボチ書けたらと思います。

管理官は、若い男性(入国)と若い女性(出国)でした。年齢や性による差別はないと思います(オッサンの人権を守れ!)。

by 雀翁 (2012-03-16 12:12) 

雀翁

yukomimiさん、

ありがとうございます。

まあ、そんにいいことばかりでもないんですが...
たくさんの経験をさせてもらっていることは、ほんとうに有難いと思います。

by 雀翁 (2012-03-16 12:14) 

mint_tea

しみじみ読んでいたら「昼めし」で噴出してしまいました(^。^;)
これまで誰もがひそかに噴出していただろうと思いますが、誰も指摘できなかったのかな。私もそんな英語を使っているのだろうと思うと空恐ろしくなります。(元々がもっとつたないので、ま、いいか……)
雀翁さんのドタバタしてもジタバタせずの精神、見習いたいと思います。
慣れていらっしゃるとはいえしばらく大変だと思いますが、奥様共々お体気をつけてください。
上海での新たな経験話、楽しみにしています。
by mint_tea (2012-03-17 14:06) 

雀翁

mint_teaさん、

ありがとうございます。

「昼めし」は、何の疑いもない純真な目と真面目な顔で言われたので、こちらがうろたえてしまいました。確かに私たちもきっと変な英語を使っていて、失笑を誘っているのでしょう。

先週末、引越し屋さんが持ち出す家財道具を見に来たりして、いやがおうでも引越しム-ドが盛り上がってきました。

by 雀翁 (2012-03-19 09:01) 

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