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カナディアン・ロッキ-を歩く (その2) サンシャイン・メドウは花盛り [旅行]

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時差のため眠ったかどうかようくわからないまま、目覚ましの音を聞いた。さあ、始まる。

朝9時、ヤムナスカの難波さんと会うことになっている。2日間お世話になる。9時10分前、ロビ-に降りていくと探すことなく難波さんろ会った。難波さんはヤムナスカの代表をしているが、とてもソフトな人当たりで、山のガイドといえば、「またぎ」のような人を想像していた私は嬉しく驚く。考えてみれば、「またぎ」がガイドのような仕事をするわけない。私の頭の中で、「またぎ」も「ガイド」も「シェルパ」もごちゃごちゃになっていた。ロッキ-に着いて間もないので、身体慣らしや時差調整のため、軽めのハイキングをしようということで、バンフの街から歩いてもいけるトンネル山に行くことになった。市民が気軽に散歩がてら登る山だという。確かにきっちりとしたハイキング装備をして登る私たちの横を、犬を連れてジョギングで登っていく人がいた。仕事前の一汗ということらしい。「ガイド」と共に山を歩くのは初めての経験だ。難波さんは、かなりゆっくりした、しかし安定したペ-スで登っていく。ストックをついて一歩一歩。もちろん、それが私たちのためであることはすぐわかった。標高差200mほどの山なので簡単に登れるが、それでもゆっくりゆっくり登る。これが、ハイキングの基本テクニックなのだ。はやる気持ちを抑え、ペ-スを守ると、ほとんど疲れずに山を登ることができる。これはそのあと一緒に行った別の2人のガイドにも共通した登り方だった。そして、喉が渇く前に水を飲み、疲れたと思う前に休む。ガイドは正規の資格(カナダの資格)を持っていないとできない。そして、その資格を取るために、彼らは学校へ行き訓練を受けている。日本では、ガイドの資格があるにはあるが、資格なしでもガイドの仕事ができるそうである。

1時間ほどでトンネル山山頂に立つ。これが最初で最後のカナディアン・ロッキ-での「登頂」となった。山頂からは、バンフの街を眼下に、そしてバンフを囲む山を眺望することができた。高くはないが、素晴らしい景色を見せてくれる。カナディアン・ロッキ-開発の歴史が、当時ヨ-ロッパで流行ったビーバ-の毛皮で作った帽子のための、ビーバ-捕獲で始まったと難波さんは説明する。バンフ国立公園が、国立公園として世界で3番目に古い歴史を持つというのも驚きだ。カナダは建国150年足らずのとても若い国でしかない。その他、東部のケベック州の独立案に対し住民投票が行われ、非常な僅差で独立が認められなかったことなど、興味深い話が続く。これらは、カナダやロッキ-のことをほとんど知らなかった私には、「トンネル山の教え」として強く印象に残った。下山して、Lake Two Jack、そしてLake Minnewankaを案内してもらう。どちらも美しい湖だ。家族が集い、犬が走る姿はなつかしいスイスのレマン湖を思い出させる。Minnewanka Lahe沿いの散歩道を2kmほど歩く。ゆったりとした楽しい時間。そして、私は気がついた。「山に行きたい」と思っていたが、ほんとうに行きたかったのは、高い山ではなく、こうしたゆったりとした森や湖の散歩道だったのだろう。


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翌日、SunShine Meadow(Meadowは草原)に行く。冬はスキ-場として賑うところらしい。バスで標高2,160mのロープウェイ終着駅まで登る(夏季はロ-プウェイは動いていない)。バスは1時間に1本の予約制である。3時間ほどかけて歩いて登る人もいるが、Meadowをゆっくり回るならバスで行くしかない。こうやって国立公園内に入る人を制限している。実際Meadowでは数えるくらいの人にしか会わなかった。自然保護は人の手でやるのではなく、自然に触らないようにするというコンセプトがそこにある。ベストの方法は、人を入れないことなのだ。Meadowには一部まだ雪が残り、一方、ウエスタン・アネモネやバタ-・カップといった初夏の花が咲き乱れていた。晴れているうちにと、まずは200mほど登って展望台へいく。言葉にならない景色が待っていた。ロッキ-のマッタ-ホルンと呼ばれる、バンフ国立公園最高峰アシニボインも遠望することができた。展望台の下に地リス(地面の穴にすむリス)が集団でやってきた。人が来ると餌をもらえると思っているらしい。「国立公園内で動物に餌を与えると、2,000ドルの罰金なんです」、難波さんが言う。「可愛いから」とここで餌を与えることが自然を壊すことになるのだ(偉そうなことは言えない。実は、難波さんに言われる前にすでにビスケットのかけらを2つ3つ投げていた。カナダの国立公園法の罰則の時効が気になる)。展望台でゆっくり時間を過ごした後、Meadowの小さな湖を巡る。「あ、まだあった!」、難波さんが声を上げたのは、グレ-シア・リリ-(氷河の百合)を見つけたときだ。グレ-シア・リリ-はロッキーの花の女王とも言われる花で、春の花、私たちが行った7月後半にはあまり見られない。難波さんによると、今年は雪解けが遅く、従って花の時期もちょっと遅れているとのことだった。グリズリ-湖という名のあまり近づきたくないような湖を周り、軽快なハイキングを楽しむ。難波さんはたくさんの花の名前や性格を熟知していた。これもガイドの大切な素養だ。

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今回の旅行で、実際、熊に出くわすことはなかったが、熊は人に危害をかけうる猛獣であり、対策をしっかり持っておくことがロッキ-のハイキングを楽しむ条件になる。熊は基本的に人を避けるので、危害を与えるとすれば、思いがけず出会ってしまった場合。そして、熊が驚いてパニクった場合や、人が熊に対して攻撃的であると思われた場合などである。対策としては、出会わないようにするいこと。そのためにはグループで歩いたり、音を出して「人間がいるぞ」と熊に気づいてもらうことである。そうすれば、熊のほうで姿を消していく。統計的に6人以上のグル-プは熊に襲われたことはないそうである。運悪く出会っしまった場合は、刺激を与えないこと。静かにして、ゆっくりと行動すること。こちらから、攻撃をすることはないと安心させること。ロッキ-の山岳スポ-ツ店などではBear Spray(熊よけスプレ-)を売っている。いざ、熊に出会ってしまい、熊が威嚇してきたり、攻撃の態度を示すなど、どうしようもなくなったときに使う。中身は唐辛子の粉などをまぜた強烈に目に痛い成分でできているとか。間違って家の中で噴射してしまうと、3日ほど泣きながら暮らさなくてはならないらしい。ガイドの人はもちろん携帯しているし、一般ハイカ-でも持ち歩いている人は少なくない。飛行機への持込はス-ツケ-スの中であってもできない。

カナディアン・ロッキ-で、人が容易にアクセスできるところのほとんどが国立公園になっている(国立公園になっていないところ、すなわちロッキ-の大部分は、物理的に人が近づけない)。そしてその国立公園に滞在するには利用料を払わなければならない。利用料は国立公園の維持管理に使われる。利用料は1日単位だが、6日を超えるといきなり年間パスになる。2人分で130CADドル(約11,000円)ほどだった。国立公園の管理状況を見るとこの料金が決して高いとは思えない。印象として、とてもよく管理されている(人間に好き勝手はさせない)。難波さんによれば、この料金を払っていれば国立公園内で遭難したとき、ヘリコプタ-を含め捜索・救助がすべて無料だということだ。日本の国立公園の管理状況はまったく知らないが、たぶん、カナダのそれに比べお粗末な状態ではないかと思う。財政的に苦しいだろうからそんなに予算もないだろう。このカナダのケ-スは1つのモデルになりうると思う。利用者から広くお金を集めることで、公園の管理を向上させることができる。

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葵ママ

きっちり管理してる国立公園って、日本には少ないでしょうね。思い浮かぶのは尾瀬とか、そのくらい。がっちり料金とって管理費に充てるというのは悪くない方策ですが、“国立”と聞くやいなや「安いorタダ」を連想しがちな日本国民の同意を得るにはかなり根回しが必要かも。

最後の写真は丼メニューでしょうか。イクラとサーモン?醤油書けたら美味しそう。
by 葵ママ (2011-08-09 13:55) 

drumusuko

ご訪問頂き、ありがとうございました。
それにしても、カナディアンロッキー、すごい所ですね~。
花も数多いし、沼の水の色もとてもきれい、うらやましい限りです。
by drumusuko (2011-08-09 14:14) 

collet

素晴らしい景色ですね!それに高山植物の可愛いこと!!
黄色いのは日本で言うミヤマキンバイかな?
その下の白くて愛らしいのはチングルマですね。

ところで、以前から問題になってますが、
わたしも富士山などの入山料を取るのには賛成です。
最近は特に、山ガールという言葉が聞かれるほどに、
登山愛好家も増えたようですし、保護のためにも良いことだと思ってます。

最後の親子丼、サスガに豪快ですね!
あっ、もしかしてお味も豪快だったかしら?
by collet (2011-08-09 15:34) 

雀翁

葵ママさん、

日本に税金を納めていない私(住民票を抜いているので)が言うのもなんですが、国は輪転機で無尽蔵にお札を刷っているいるわけではないので(日銀が刷ってる)、誰かがお金を払わないと何も出来ないはずなんです(誰も払わないので、将来の子供たちが払わされます)。

カナダでおいしいものは?と訪ねると、ワイルド・サ-モンだというので、何故か日本食屋に行きました。

by 雀翁 (2011-08-09 18:13) 

雀翁

drumusukoさん、

6月下旬に雪が溶けて、9月には雪が振り出すロッキ-背は、その短い春夏に、草花が一度に芽吹くそうです。私たちが行った7月後半は初夏の花と咲き遅れた春の花が重なった時期のようです。今回、高山植物を見たいと言うのが一つのテ-マだったので、下を向いて歩くことが多く、たまに顔を上げると、「おおっ」という景色に出会いました。

by 雀翁 (2011-08-09 18:20) 

雀翁

colletさん、

旅行に出る直前にヤムナスカのガイドさんが出している、ロッキ-のハイキングコ-スの本を、そしてカナダ滞在中に同じくロッキ-の花の本を買いました。まだあまり読んでいません。日本名はわからないのですが、光ったような黄色は「バターカップ」(バタ-を塗ったように光っている)で、その下は、ウェスタンアネモネだと聞きました。

きちんとした自然保護をするにはお金がかかりますから、賛否はあると思いますが、私は、例えば国立公園使用料をとるなどの方法も有りかなと思いました。実際、レンジャ-の方に何度か会って、彼らが誇りを持ってきちんと仕事をしている姿に感銘を受けました。

親子丼、見た目は豪快ですが、味は繊細でした。今回カナダ滞在中最も美味しかったものの一つです。妻は、同じものを2度食べました(別のタイミングで)。

by 雀翁 (2011-08-09 18:31) 

krause

良い天気に恵まれたカナダ、素晴らしい景色ですね^^。
by krause (2011-08-10 07:17) 

雀翁

krauseさん、

この日が最高のお天気だったと思います。この夕方からずっと天気にはめぐまれない日が続きましたが、雨の山も、そう悪くはないということを経験しました(もちろん、晴れているに越したことはありませんが)。

by 雀翁 (2011-08-10 08:29) 

ももんが

本当にすばらしい景色と自然ですね。写真の色が鮮やかで、すがすがしい気持ちになります。
ちょっと今、パワー不足だったので、なんだが元気を分けていただきました。ありがとうございます。
by ももんが (2011-08-10 23:28) 

Bonheur

親子丼を見て、NZのテカポ湖近くの親子丼を売りにしている店を思い出しました。そちらは確かオーナーが日本人。景色と空気が良い場所で頂くサーモン・いくらは最高ですね。
景色の写真を拝見して、「この素晴らしさは現地に行かないと分からないのだろうな」と思いました。スイスも、写真だけではその価値はわかりませんでした。でも、熊が怖いし交通の便がネックとなり、カナダ個人旅行は叶いそうもありません。なので雀翁さんの記事を拝見して妄想するしかないです。。(バンクーバ出張は秋にありそうです。)
韓国も暑そうですね。盆休みに知人が韓国に遊びに行くようです。
雀翁さんも夏バテにお気をつけて、どうぞ元気な夏をお過ごしください。
by Bonheur (2011-08-11 00:30) 

雀翁

ももんがさん、

日本はめちゃくちゃ暑いようですね。。そのために夏休みがあるんっでしょうが、その分お母さん方の負担も増えることでしょう。パワ-不足には揖保の糸を食べて、エネルギ-を充電してください(昨夜、私が食べたので言っているだけです)。

涼しい(ちょっと寒い)カナダでの2週間を終えて、韓国の暑い夏を覚悟していたのですが、ここ10日ほど雨か曇りで、太陽の顔を長く見ていません。この写真のような青空を懐かしく思っています。
by 雀翁 (2011-08-12 12:25) 

雀翁

Bonheurさん、

テカポ湖で親子丼?それは元祖親子丼(鶏と玉子)でしょうか、それとも新親子丼でしょうか?

確かに写真には写しきれないものがありますね。と言いながら、今回の旅行で、ひしひしと「カメラを買いたい(一眼レフ)」と思うようになりました。でもそんなものは、ポケットに入らないし、持ち運びが重いし、写真を撮るだけの旅行をしたくないし...とうじうじ思い悩んでいます。

バンク-バ-にはトランジットで下りただけなので、空港しか見ていません。いい所だと聞いていますが、ガイドの人に言わせると「人は多いし、物価は高いし...」。VATが州毎に違うカナダではバンク-バ-のあるBC州はロッキ-のあるアルバ-タ州より最低税金分高い(約5%の差)そうです。とはいえ、是非一度立ち寄ってみたいところです。

お友達、もし、8月15日にこちらにいらっしゃるなら、その日が韓国では光復節であることをしっかり自覚してこられたらいいと思います(何か悪いことがありわけではありませんが)。

Bonheurさんはもう北国ですか?

by 雀翁 (2011-08-12 12:37) 

Bonheur

Yes, I'm in Hokkaido.昨日の朝から来ています。
空気がさわやかで涼しいです。スキー場の近くに滞在してますが、冬は来る気にならないです・・・
テカポ湖の親子丼は雀翁さんの召し上がったのと同じサーモン&いくら丼です。
バンクーバは出張なので、そんなに滞在を満喫できないと思いますが、まあ、雰囲気だけでも、と思っています。
友人、15日も滞在予定ですね・・・多分、帰国後に「参ったよ・・・」というコメントが帰ってくるのではないかと予想されます。
by Bonheur (2011-08-12 18:29) 

雀翁

Bonheurさん、

あれ、アイコンがなくなりましたね。

Hokkaido! いいですね。日高地方(苫小牧から車で40分ほど)で3年半過ごした私には、たくさんいい思い出があります(悪い思い出はすっかり忘れました)。

お友達、普通に行動すれば(竹島問題には触れないとか、日章旗を掲げて歩かないとか)、別に問題はないと思います。


by 雀翁 (2011-08-12 20:26) 

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